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ゆる〜い技術メモ

useR! 2021の運営に参加して感じたこと

はじめに

この記事はR Advent Calendar 2021 の25日目の記事です。

僕は今年のRの国際カンファレンス useR! 2021 に運営の一人として参加し、大きな挫折を味わいました。

useR! 2021 のホームページには「Global Organizing Committee」「Conference Facilitators」が公開されており、誰が大会運営に関わったのかが列挙されています。僕の名前は後者のConference FacilitatorsのZoom Hostにあります。

(途中まではGlobal Organizing Committeeにも名前があったのですが、ほとんど何もできなかったため今は削除されています。)

本記事では、「なぜuseR!の運営に参加することになったのか」「何をしたのか」「何を感じたのか」「これからどうしたいのか」を中心に書き綴っていきます。

経緯

useR! 2021の運営に参加することになった経緯を書きます。これがなかなか長いです。

useR! をいつか東京に承知したいと思っているた(る)

さて、突然ですが僕はRの国際カンファレンスであるuseR!をいつか東京がホストでやりたいと思っています。2018年のuseR!にポスター発表で参加して以来、この思いは日に日に強くなり、こんなツイートまでしていました。

この発言が2019年の大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に影響を受けていることはツイートに書いてあるとおりですが、当時は割と具体的に、2024年くらいのuseR!を東京に呼べないかなと思っていました。

余談ですが、useR!はその年のを実施する時点で2年後のホスト都市まで決定しており、ホストとして招致しようと思った場合、実質3〜4年くらい前から動く必要があります。

useR! 東京招致に向けて動き出した矢先のCOVID-19

思い立ったらすぐ行動をするタイプの僕は2019年12月から2020年の1月に以下のことを並行してやっていました。

useR!を呼ぶのってどうしたらいいのか調べる(useR!本体の話)

やりたいと思うのはいいものの、右も左も分からないためまずはuseR!の招致ってどんな手順があるのかを確認します。

どこに聞いていいかもわからないので、とりあえず以前Tokyo.Rのハドリー会(2018年7月)で一緒に来日してくれたRStudio社のコミュニティアンバサダーのJoe に経緯を話しました。

すると、useR!の運営の本体である R Foundationの一人、Heather Turner 氏を紹介してくれました。

この時点で、いつかuseR!を東京でやりたいという意思表示と、useR!のあり方に関する簡単な議論はしていました。

useR! は今は特定の都市での開催にしてるけど、それをMain Hubにして、同時期に世界各地でRegional Hubを開催してもっとグローバルな大会にする、みたいな構想もあったようです。(これがいまアイディアとして生きているのかはわかりません。)

国際会議ホスト経験者に話を聞く(招致側の話)

国内の人づての紹介等を頼って技術系の国際大会の運営経験があるPyCon JPの某氏に、僕と国内DSコミュニティ界隈で有名な某氏とで話を聞き、そこで紹介されたある観光財団に話をしにいきました。そこでは1000人規模のuseR!を呼ぶにはどのくらいの金額が必要でどんな会場があって、、、みたいな割と具体的な数字を交えた議論がなされました。

その後、現Tokyo.R運営メンバーや過去にJapan.R運営に協力してくれた方などで招致チーム(仮)を作ったところでこの話は終わっています(再開のメドは立っていません)。

皆さん御存知の通り2020年1月末から世界的にCOVID-19が流行し、未だに世界的な収束の見込みが見えないことが原因の一つであることは間違いありません。

勉強会・カンファレンスのオンライン化

さて、当初数ヶ月で終わると思われていたCOVID-19の流行もまったく収束のメドが立たず、2020年には様々な国際会議がオンライン化しました。useR!に関しては4月くらおにはuseR! 2020はオンラインにするよと言っていた記憶があります。

なお、僕はuseR! 2020 には自分のことで精一杯だったこともあり参加者としても関わりを持っていませんでした。

useR! 2021への運営参加

useR! 2020が終わって少しした7月末くらいに、R Foundationの別の方からある連絡を受けました。日本語で要約すると以下のような内容です。

useR! 2021 はオンラインでやるよ。これまではホスト地域の運営とR Foundationだけで作ってきたけど、オンライン大会だから運営ももっとグローバルにしたいんだ。一緒にやらないかい?

この連絡は実は先述した観光財団に僕と一緒に話をしに行った某有名人の方のところにも来ていて、ふたりとも「Yes」と返事したのですが、後に運営用Slackに参加したのは僕だけでした。

useR! 2021運営で何をやったのか・できなかったのか

役割を振られていたのだが、、、

当初、僕はコミュニティ担当みたいな感じで、各種お知らせを和訳する、みたいなものだったのですが、全然動けてない現状をみてかいつの間にか外されていて、そのあとスポンサー取得チームみたいなところにアサインされたのですが、こちらもどう動いていいのか分からず、気づいたら外されていました。

結局当日のZoomホストのみに

結局、やった仕事は当日のZoomホストのみでした。仕事としては用意されたリンクを立ち上げて、スポンサー動画を適切なタイミングで流して、登壇者に共同ホスト権限を振るという、割と単純なものなのです。ただ、一週間前に当日と同じスケジュールでリハーサルをやるというのは引き受けたときには想定していなくて、スケジュール調整が大変でした。

大して役に立てなかった原因

自分なりに考察してみます。

単純に時間を取れなかった

いわゆる作業時間を全然取れませんでした。2020年〜2021年前半は個人的に忙しかったというのは完全に言いわけですが、要は1000人規模の国際カンファレンスというものに対する準備の時間意識がなかったように思います。

そのあたりの個人的な能力の欠如は後述の「感じたこと」にて。

全体で何が起きてるのか分からなかった

仮に仕事を振られたとして、その後のプロセスが分からない、なんでやってるのかが分からない、みたいな事態は何度かありました。自分は大規模かつ長期間のプロジェクトで動いた経験があまりないので、どう振る舞えばいいのか分からなかったのが原因です。

寂しかった

なんだかんだ日本からuseR! 2021の運営に関わった日本人が自分一人でした。孤独に戦ってる感が否めなかったのは今思うとモチベーションが維持できなかった原因の一つかもしれません。

useR! 2021運営に参加して感じたこと

時差つらい

国際カンファレンスあるある。useR! 2021のホストはスイスのチューリッヒだったのに加え、主要なuseR! Global Teamの主要メンバーは欧米地域に住んでいるため、運営に関わる1年間の様々な打合せがUTCベースまたはETCベースでセットされます。日本はアジアでもだいぶ東にあるため、なかなか自分の活動時間にそういった打ち合わせ等に参加することができませんでした。大体夜中〜早朝。つらい。

また、当日のZoomホストも6〜8時間単位でシフトが振られるため、Zoomホストの日は昼勤(普段の仕事)+夜勤(useR!)みたいなスケジュールになっていました。

運営に参加するモチベーションの違い

これは高いとか低いとかそういう話ではなく、動機の違いです。日本のRコミュニティ、Rに限らず技術系のコミュニティだと単純に「この言語、業界を盛り上げたい!!」というのが根本的な動機になってる方がほとんどだと思うのですが、こういった国際大会の運営に絡んでくるような日本以外の地域の人の多くは国際大会の運営そのものが自分の仕事やキャリア形成に直接つながる職種の人が多ように感じました。日本ではあまり聞かないですがResearch Software Engineeringという職種の人が多かったように思います。

ただ、これはあくまで自分の感じた範囲での話ですので、純粋に盛り上げたいという動機の人もいるとは思います。

自分の英語力の低さ

さて、ここからは自分の能力の問題です。

やっぱり英語力が足りない。こういった大規模な大会の運営ともなると、具体的なタスク(いつまでにどこになんて連絡するなど)だけではなく「コミュニティのありかた」のような非常に抽象的な議論も多くあります。自分の英語力の場合、読んで書く分には普通にコミュニケーションが取れるし、相手が言ってることもだいたい分かるのですが、喋りがダメダメで抽象的な議論になると議論の中に割って入るというようなことができませんでした。

結果、最初に自分の考えを一言だけだして、後は他の人の議論を聞いてるだけみたいな非常に。

自分の経験の少なさ

コミュニティ活動、及び自分の仕事を含めた、「超規模で大規模なものへの経験の乏しさ」です。

  • 100人規模のチームで動いた経験がない
  • 1年という長期プロジェクトのマネジメントとして動いた経験がない
  • 本業や副業がある中でのタイムマネジメント

useR!は僕みたいな未熟者がいきなり飛び込むには規模が大きすぎたのかもしれません。

なんか、嵐に飛び込んだ蟻があっけなく弾き飛ばされたような感覚がありました。

これからどうしようと思っているのか

AsiaR

useR! 2021のIncubator Sessionでアジア地域に関するコミュニティの議論があり、2023年か2024年にAsiaRをやりたいねみたいな感じで動きだしていて、そこに少し絡んでいます。日本からは僕の他にkozoさんが参加しています。

いつか東京ホストでuseR! を

やっぱり、これはいつかはやりたいと思います。 ただ、直近でやるのは難しそうと思っています。

上記の「感じたこと」にはあえて項目化しなかったのですが、まだ日本のRコミュニティは国際カンファレンスを呼ぶ土壌が出来上がっていないんじゃないかというのは感じたことの一つです。

どういうことか。Rパッケージを作ったりなどで海外とのやり取りをしているRユーザーは何名もいますが、海外のカンファレンスへの参加・発表や運営組織への興味がある人がまだまだ少ないんじゃないかなと思いました。ここのレベル感が上がっていかないといくら日本のRコミュニティを運営している人が「日本で国際カンファレンスをやりたい!」と思ってもダメなんじゃないかというのが今年のuseR!に参加して感じたことです。

僕もまだuseR!以外のカンファレンスにはあまり参加できていないので、人のことは言えないのですが。

そういう視点だと、インドは層が厚くてすごいなと思いました。単に人口が多いだけではない。Global Teamにもインドの型は何人もいたし、発表とかを見ていてもコミュニティとしての力強さは感じました。実際、AsiaRを引っ張っている方の一人はインドの方です。

オンラインになって現地に行かなくても国際カンファレンスに参加できるようになったので、みんなでもっといろいろ参加していきましょう!!

Enjoy!!