lantern パッケージの紹介
はじめに
この記事は R Advent Calendar 2020 22日目の記事です。
今年は色々ありまして、まさかの1年ぶりの記事更新です。
lantern パッケージは、平たく言えば tidymodels で torch のモデリングを提供するものです。 この一文で意味が分かる方は少し飛ばして次節の「インストール」以降をお読みください。 github.com
10月末頃に、Pythonに依存しないディープラーニングライブラリとして torch パッケージがリリースされました。 Rでディープラーニングの学習や生成モデルをつくるパッケージは RStudio から keras や tensorflowなどが提供されていましたが、これらはPythonの同名ライブラリのメソッドを reticulate パッケージを通して呼び出すという仕様のため、環境構築の際に一手間かかっていました。
一方、tidymodels はtidyverseの流儀に倣って、「統一したフレームワークで」「直感的に」モデリングする環境を提供するパッケージです。もともとRは統計解析のために開発された言語ということがあって、様々な統計モデリングの手法が様々なパッケージで提供されてきましたが、「引数の順番や入力データの形式がパッケージによって異なるため、様々な分析を同時に実行するのが面倒」という欠点がありました。tidymodels パッケージはこのような欠点を補う一助になります。
tidymodelsの基本的な使い方は、dropout009さんの記事などが参考になります。
ただし、現状tidymodelsでは有名なモデリング手法しかオフィシャルには提供されておらず、必ずしも自分がやりたいモデルがあるとは限りません。 足りないモデルがあれば、他のパッケージによるtidymodels用のインターフェース提供を期待するか、自分で用意しなければなりません。このあたりは、atusyさんによる14日目の記事が詳しいです。
lantern パッケージは、この「tidymodels用のインターフェース提供」をしてくれるパッケージです。ただし、開発がtidymodelsになっているので、将来的にオフィシャルに組み込まれる可能性はあるかもしれません。。。
また、本記事執筆時点(2020-12-21)で lantern パッケージのライフサイクルは「experimental」つまりまだ実験的な立ち位置のパッケージになりますので、以下で書くことは今後変わる可能性がありますので、ご注意ください。
以下、tidymodelsの基本的な使い方(レシピの組み方など)と、ディープラーニングの基本的なこと(エポックとか隠れ層とか)がある程度分かっている前提のお話になります。
続きを読む闇のExcelに対する防衛術
この記事は R Advent Calendar 2019 の25日目の記事です。
Rユーザにとっての闇、それはデータソースとして渡されるエクセルファイルでしょう(異論は認める)。
tidyverseの中にある readxl パッケージによってだいぶ楽になったとはいえ、まだまだ手元でエクセルファイルを直さないとまともに読み込めない、というのが現状でした(セル結合とかキツイですよね...)。
そんななか、そのあたりを面倒見てくれるパッケージが登場していますので、それを紹介したいと思います。本記事で紹介するのは以下のパッケージです。
この2つはペアで使うことが多いようです。
なお、tidyxl パッケージと unpivotr パッケージについては本記事の内容はほぼ全て以下のWeb Bookに詳しく書かれています。
本日のゴール
本日のゴールは、上記のWeb Book の9.1で紹介されている、以下のような、オーストラリアで実施された結婚についてのの調査結果が記録されたエクセルファイルのシートを tidyに(ここ重要) 読み込むこととします。
このファイルは、こちら からダウンロードできます。
- Table 1
エクセルファイルの2シート目、"Table 1" シートには2つのテーブルがあります。1つは「Response Clear」 というテーブル、もう1つは「Eligible Participants」です。ぱっと見ただけでセル結合が複数あるわ、そもそもテーブルが1シートで複数あるわで、 readxl パッケージでは太刀打ちできそうにありません。しかし、このようなエクセルシートは世にあふれており、我々Rユーザがこのような闇と対峙しなければならない場面は少なくありません。
続きを読むeasystatsについて①: パッケージ群の紹介
これはR Advent Calendar2019の第1日目の記事です。
はじめに
R言語の特徴として
- 統計解析向けの手法がたくさん実装されている
- CRANやGitHubに誰でもパッケージを公開できる
というものがあるかと思います。他にも tidyverse パッケージ群の登場によってデータハンドリング、可視化周りが強くなったり、shiny パッケージでwebアプリが作れたりと最近は色々できるようになっていますが、上記の特徴は大きな特徴の一つと僕は思います。
さて、いろんな手法を別の人が実装した結果、各パッケージのアウトプットが異なるという問題がおこります。(手法が違えば出力が違うのはしょうがないのですが。)例えば、同じデータでいくつかの手法で試してみてその結果を比較したいとき。
model1 <- lm(Sepal.Length ~ Petal.Length, data=iris) model2 <- rstanarm::stan_glm(Sepal.Length ~ Petal.Length, data=iris)
この例でこの比較に意味があるのかはさておき、この2つのモデルに対して回帰係数をそれぞれ見たいとき、
model1$coefficients #> (Intercept) Petal.Length #> 4.3066034 0.4089223 model2$coefficients #> (Intercept) Petal.Length #> 4.3076763 0.4085251
のように見ることもできますが、rstanarm::stan_glm()
の出力のリストに coefficients という項目があることは事前知識があるか、model2の中を実際に見てみないとわかりません。
あるいは lme4 パッケージや brms パッケージでランダム効果を入れたモデルを作成したときに、そのランダム回帰係数を見たいと言われたら、 model_brms <- brmss(...)
で作ったmodel_brms中を探しに行かなければなりません。
このような統計モデル系のパッケージの間を埋めてくれるのが easystats パッケージ群です。
そのあたりを解決してくれるのが easystats パッケージ群です。tidyverse や tidymodels のようなパッケージ「群」です。インストールをして library(easystats)
を実行すれば複数のパッケージがまとめて読み込まれます。つまり tidyverse で dplyr パッケージや tidyr パッケージを組み合わせていたように、複数のパッケージをを組み合わせることが想定されているということです。細かいパッケージの使い方は別記事に譲るとして、本記事では library(easystats)
を実行したときに読み込まれるパッケージの紹介と、「例えばこんなことができるよ」的なものを紹介できればと思います。
「白金鉱業 Meetup Vol.12(白金鉱業 x IBM社内勉強会dsn 合同企画回)」に参加しました。
「データアーキテクト(データ整備人)を”前向きに”考える会」に参加しました
はじめに
11/27に開催された「データアーキテクト(データ整備人)を”前向きに”考える会」にブログ枠として参加させて頂いたのでイベントの様子をレポートとして書きます。
analytics-and-intelligence.connpass.com
会場: 株式会社オプト
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